2021年2月2日、足立区生涯学習センターで「音楽講座 呼吸と発声の仕組み~声を育てる」(NPO法人あだち学習支援ボランティア「楽学の会」・足立区・足立区教育委員会主催)の講師を務めました。

 月内で2回の講座の初回は「呼吸の仕組み」が主題です。帰国後「声を育てるエクササイズ」の教室を開設し18年になりました。「Atem-Tonus-Ton」のメトードを習得し、延べ100名を超す参加者に呼吸と声の実践を指導してきましたが、声の手前にある「呼吸」の感覚の習得は難しいものがあるようです。
 人の息は脳幹の指令つまり自律神経により、心臓などの臓器と同様にその意思に関係なく自動的に機能し調整されます。そこでは意識の入り込む余地はないのですが、筋肉の動きと深くかかわっている呼吸は、人の意思でもって指令が副次的に可能になるのです。例えば、息を止めましょうと指令を出すと、短時間ですが特にそこに疾患をお持ちでなければ可能です。心臓だったらそうはいきません。

 講座では、普段のレッスンではなかなかお話し出来ない細かな内容にも触れました。例えば、呼吸の仕組みの外呼吸と内呼吸についてでは、呼吸器官で取り込まれた酸素が体内では血液の移動により、細胞内でのエネルギーを生み出し二酸化炭素を外に放出するガス交換につながります。これは常に私達の体内で起きている事実で想像の世界ではありません。
 実際のレッスンでは、意識的な呼吸のメカニズムを利用し、呼吸の補助筋肉に働きかけることで呼吸を感じやすくしています。それによりどの様な感覚を得るのか、その感覚を歌うことにどう結び付けるか、個々人にあっては試行錯誤の連続だと思います。一方、指導者が想定する類似の感覚が得られることでコミュニケーションが可能になります。私達は全身で呼吸をしています。こうした呼吸の感覚を歌声に結びつけることが、私たちのエクササイズの目的の一つなのです。

 ただし即席にその感覚が生まれるものでもなく、研究生をはじめ10年以上レッスンに参加されている方々から、最近になり先生のおっしゃっていることが実感できましたと改まって聞かされることがあります。やはり継続は力なりなのです。意識的な呼吸の奥の深さを感じ入ります。
 エクササイズでの呼吸の感覚を声に結び付ける活動として言葉で説明しようとしても、なぜか頭で理解する方に傾いて、肝心な実践につながらないことがあります。ただ、「Atem-Tonus-Ton」は発声の要なので、今後とも機会があれば可能な限りお伝えしていきたいと思っています。
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Updated 2021/2/4
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