風薫る五月です。温暖化の影響で季節感が乏しいのですが、桜の開花の便りが列島を駆け巡り、4月3日には北海道へと北上、釧路地方気象台でエゾヤマザクラの標本木で開花の宣言がありました。ソメイヨシノではないのですね。沖縄も1月にヒカンザクラが咲いて開花宣言がありました。
さて、東京の足立区では荒川下流の江北橋緑地で2013年以来、「あだち五色桜マラソン」を開催しています。2012年が日米友好桜100周年を迎えたのを契機として、その一環としてマラソンの事業を有志で立案したのが始まりです。
2025年4月13日(日)に第13回を実施しましました。全国、一部海外も含め2,000人弱の皆様がランナーとして、かつ一輪車の競技者として参加され、雨模様でしたがゲストランナーの激励もあり盛り上がり、大過なく無事に終了しました。
五色桜については、このお便りでも何回か取り上げています。本当に数奇な運命に翻弄されながら時代を駆け抜け、受け継がれてきた多種に彩られた桜並木なのです。
大政奉還と江戸の市中、江戸時代の名残を持った多種の桜、江戸の植木屋と明治の篤志家との出会い、明治天皇の三親王の桜見物、荒川の洪水、放水路開削事業、アメリカのワシントンD.C.のポトマック河畔に植樹された五色桜の並木、害虫による焼却処分、二回目の寄贈で五色桜の穂木が選定、戦争や公害、国内の五色桜の衰退、里帰りザクラ、足立区制50周年記念事業、平成五色桜の並木など、五色桜に関係するキーワードが走馬灯の様に脳裏を巡ります。
そのすべてに歴史の綾があるように思えて仕方がありません。もし、維新の最中江戸で戦が起きていたらとか、江戸の植木屋と篤志家の出会いが無ければとか、放水路開削事業で荒川堤が保護されていたらとか、そして何より五色桜の育成や保護、観察、研究、伝播に関った一連の人々の存在無くして五色桜を語ることは出来ないでしょう。
今年は5月中旬にやはり五色桜の河川敷のもとで、「あだち荒川マラソン2025」が開催されます。堤の桜並木はすっかり新緑となりました。子どもたちの「かけっこ」教室もあるそうです。五色桜大橋や東京スカイツリーも見えるビュースポットでもあります。よろしかったら、お出掛け下さい。 |