前回のお便りで春一番を記しましたが、その対象期間である春分の日まで、どうも東京地方ではその発表がなかった様です。念の為ネットを検索したところ、民間のサイトだと思いますが「2025年は北陸地方と九州南部・奄美でしか観測されず、残る6地域では観測されない結果となりました」との配信を見つけました。関東で春一番が吹かなかったのは10年ぶりだそうです。
一方、この時期は桜の開花がメディアを賑わせています。ただ、五色桜の地元で暮らしているとソメイヨシノだけが桜じゃありません、と天の邪鬼になりそうです。というのも、立春を越えると冬木立の並木にも変化が現れるからで、特に十月桜は晩秋からずっと可愛らしい白い花をつけ目を楽しませてくれます。河津桜は立春になるとこちらでも咲き始めます。その他にも、おかめ桜、雅桜、陽光など鮮やかなピンクの花びらが日を追うごとに数を増して、どう私たち?とお喋りしそうな感じを、毎日経験しているからです。
もちろん、町中に広がるソメイヨシノの白い花びらの圧倒的な印象は、過去に記憶されているので、この光景に異変が起きると大変で、いつ咲くの、咲くのと気忙しくなるのも分からないではありません。ただし、くどい様ですが、五色桜を経験していると、むしろ八重咲の桜の種類の開花が待ち遠しくなります。近くに関山の並木があり、開花情報の飛び交う最中でもまだまだ蕾は小さく固そうなのもあり、なかなかどうして本格的な春の陽気を迎えるために必要な一時と感じます。
さて、声を育てるエクササイズの一つに歌曲クラスがあります。一年を通して、イタリアやドイツなどの名立たる作曲家の作品を歌い込むクラスです。毎月1回、1曲ずつなので、続けると相当数の曲を体験します。レパートリーも増えます。もちろん、得手不得手もあるので、その場で歌い込んだからといって自分のものになるわけではありませんが、その経験は決して無駄にはならず、継続していくことで様々な発見にもつながります。知らず知らずのうちに沢山ある音楽の感性の一つを身に着けていることがあるのです。
年度の最後に「おさらい会」として、独唱や重唱、あるいは二重唱で発表会形式にして、参加者同士で日頃の成果を発表します。本年度も「第11回歌曲を楽しむ会」を3月に行いました。メンデルスゾーン、モーツアルト、シューベルト、シューマンなどの作品をもって充実した一時を過ごしました。( 写真) |